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星咲の脳内が垣間見れます。
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も(だ)えすぎて呼吸困難です。


……これが…若さか…。
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うあああやばい中学高校以来の萌えがここにいいぃぃぃぃぃ!!!

APHでwimシリーズのアーサーとアルフレッドを聞いてから止まらない堪らない止まらない。
アーサーのツンデレっぷりが可愛すぎる。
それを分かってアーサーに振り回されつつリードするアルフレッドが格好良過ぎる。
なんだこの2人はああぁぁぁ!!(じったんばったん)

まあ、つまりあれです。

米英いいよ米英。



何もない空間に、ひとつ、扉がある。

古びた木製の扉は無防備に開いていて、扉の枠に切り取られた世界がぽっかり浮かんでいた。

ピンク色の空。
地平線に向かって黄色、水色とグラデーションがかかっている。
空にはところどころ真っ白な雲が浮かんでいて、その上に屋根が並んでいるのが見えた。時計塔もひょっこり伸びていた。
遥か彼方にはオレンジ色の煙突が幾本か並んでいて、もくもくと、ぷかりぷかりと、ふわふわと煙を出していた。
山並みは滑らかな曲線を描き、時折ふにゃりふにゃりと柔らかく変形する。
自転車に乗った麦わら帽子のおじさんが、空を飛びながら帽子を取って挨拶してくる。
羽根の生えた豚がそれにぶつかりそうになって、くるくると飛んでいった。
世界は不思議な音で満ちていた。遠い外国の田舎の港から聞こえてきた出航の汽笛のような、聞こえそうで聞こえない音。
高いような低いような音が耳を通じて頭に流れ込んでくる。

山がうねった。
煙突が大きく膨らんだ。
空を渡る列車が駅から出発した。
温かな沼に沈んでいく気がした。


きづけばぼくはぷかりとそらをとんでいた。
きみはそのさきでわらってくれていた。


おかえり

ただいま



さようなら


うまく笑えたのか自信がないということに、俺自身驚いていた。
それくらい俺にはショックで、複雑で、表情を作るなんて器用な真似をする余裕がないくらい動揺していたんだろう。

ラスティに彼女ができた。

きっと俺は誰よりも喜ぶべきなんだろう。
今まで恋愛なんかそっちのけで自分の過去や現状、そして組織のことに向かって生きてきたラスティに、やっと春の風が吹いたのだから。
相手の女の子、ティアはそんな表現がとても似合う可愛い子だ。雪を優しく溶かすあたたかさと、冬を忍んできた花々を慈しむ心を持った、春ような子だ。
不足はまったくない。秋らしさを纏うラスティとお似合いだと、お世辞でも何でもなく、素直にそう思ってる。
じゃあ、なんでこんなに悲しいんだろう。
2人を引き合わせようとはたらきかけたことを後悔しているのは何故なのだろう。

ラスティを抱く手に力を込めると、苦しそうにしながらも背中をぽんぽんと叩いてくれた。
照れくさそうにティアと付き合うことになったと報告してきたラスティに、俺は多分「よかったな」とか「おめでとう」とか言ったんだと思う。
気付いたらラスティを抱きしめていて、気付いたら目の奥が熱くなっていた。

もうこうしてラスティに触れることは許されないのだろうか。
俺が側にいても、ラスティはティアを想うのだろうか。
親友よりも恋人よりも家族よりも親しく、特別だった俺の存在は、ラスティの1番から外れて、「その他大勢」の括りに入れられてしまうのだろうか。
俺だけに向けられていた特別な表情も、もう見れなくなって、万人用の笑顔が向けられてしまうのだろうか。
何よりもティアのことを優先して、一緒にいられる時間が減ってしまうのだろうか。
普段は自負するほどに前向きなのに、ラスティのこととなるといつもの自分はいなくなってしまう。
俺にだって彼女はいた。今はいないけれど、付き合っては別れ、また付き合っては別れの繰り返しだ。ラスティはいつも苦笑を浮かべていた。仕方のないやつだな、とでも言いたいように。
ラスティはこんな思いをしただろうか?

「レオ」
首のあたりから声が聞こえた。 ラスティだ。
妙に落ち着いて、掻き抱く力を弱めると、すっとラスティは身を離した。
今、俺はどんな顔をしているんだろう。酷い顔をしていることは確かなんだろうけど。
鳶色の瞳に俺の姿が映っている。けれど表情までは分からない。
「お前が何を思ってるのか、俺には分からないけど──」
ラスティが笑う。照れくさそうに。
「俺にとってのお前の存在は、変わらないから」
だから大丈夫だと言外に言われた気がした。
「スティ…」
今度こそ、顔にも声にもでてしまった。
寂しい、と。
俺はラスティにとっての1番でありたいのだという、独占欲の一端が。
ラスティは分かっているのだろうか、俺がどれだけラスティのことが好きか。
ラスティの「好き」が俺以外に向けられてしまった苦しさが。
「……当たり前だろ」
絞り出した声は震えていなかっただろうか。
作り出した笑顔は不自然ではなかっただろうか。



明日はまたいつも通りに笑えるはずだから。
心にできた空白は、そっと埋めずに残しておきたいんだ。





「なーなしーのさん」

相変わらずキセルを吹かしている七篠さんに声をかける。
顔がないくせに満足そうな顔なんてして。
煙草は好きじゃないけど、七篠さんの吸うキセルは好きだ。
煙たさがないというか、ふわりと鼻先を掠めてはとろんと気分を楽にさせてくれる。
頭の中から余分なものを取り去ってくれるような、春の昼間に吹く風みたいな不思議な煙だ。

「どした?」

滑らかな動きで、軽い音と共に火のなくなった刻み煙草の灰を灰吹きに落とす。

「キセルばっか吸ってさ、暇じゃないの?」
「頭の足りない奴だな。キセルばっか吸って忙しいんだよ」
「忙しそうには見えないんだけど」

さり気なく七篠さんの足下に揃えられている刻み煙草に手を伸ばす。
すると、七篠さんは僕の手が届かないうちに、ひょいと刻み煙草の入った箱を移動させてしまった。
にべもない。
心なしか、七篠さんは僕がキセルに近付くことを嫌っている。
でも、顔のない七篠さんの表情からは何も読み取れない。

「お前は分からなくていいの」
「何それ」

七篠さんが僕の頭を小突く。
痛い。
七篠には加減ってものがない。
膨れっ面をすると、七篠さんは苦笑いを零した。

「何かあったって顔してんな」
「何にもないよ。僕には最初から」
「隠したって無駄だ。煙草の味ですぐ分かる」
「味で?」
「いや、気にすんな」

首を振って、僕と話す片手間で丸めていた刻み煙草を火皿に詰める。

「何もないっつうのは有り得ないだろ」
「ないよ。何も。なくしたんだから」
「ははーん、またなくしたっつうのか。懲りないねぇ、お前も」

からかうように笑って、炭火で火を点けて七篠さんがゆったりとキセルを吸う。
煙草のなくなった箱を、硝子のない窓の外に放り投げて、七篠さんは煙を長く吐き出した。

「俺が言えんのは、割り切れってことだけだ」

箱が描いた弧をなぞるようにして紫煙が揺らめいていく。
七篠さんの目は、その煙を見守っているようだった。

「今ないもんはないし、今あるもんはある。それだけだ。過去にどれだけあったもんでも今ないんなら、悔やんだってないもんはない。その逆も然り。そゆこと」
「割り切ってるなぁ」
「割り切ってるからな」

気付けば、七篠さんの周りは燃やされるのを待つ刻み煙草でいっぱいになっていた。
あれを吸わなきゃいけないとなると、確かに大忙しだ。

「気がすんだらとっとと戻れ。そろそろ戻らにゃならんだろ」
「んー」

七篠さんの傍はどうしてか落ち着く。
キセルの煙のせいか、この欠けたもので溢れた空間のせいか。
ここにいると、満たされる気がした。
互いに欠けたものを互いに補って、ないものを認めあってあるものを尊んで。
でも、ここにあるものたちは、割り切ってる。
他のものにあるものを羨ましがったりしない。
満たされたような気になっているだけで本当は満たされていないのを分かっていながら、それでも欠けていることを嘆いたりしない。
だからかな、こんなに心地よいのは。

「ありがとう、七篠さん。元気出た」
「どういたしまして。ほら帰った帰った。ここは長居する所じゃねぇぞ」

ふと見ると、七篠さんの周りにあった刻み煙草の数は減っていた。
いつの間に吸ったのか不思議だったけど、今日は素直に帰ることにしよう。
綿の入っていない座布団から腰をあげて、鍵のない扉に手をかける。

「じゃあまたね、七篠さん」
「おー」

振り向くと七篠さんは飽きもせずキセルを吹かしていた。
白い煙が邪魔で、七篠さんの表情が見えなかったけれど。
気の抜けた返事があったから、よしとしよう。




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