星咲の脳内が垣間見れます。
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七篠さんの指先が刻み煙草を器用に丸めて、キセルの先に詰める。
七篠さんがいやに真剣な顔で火入れにキセルを差し込む。
数秒後にゆらりと漂う香りと煙に、七篠さんは満足そうに笑った。
「それ、吸わせて」
キセルを指差す。
七篠さんは心底嫌そうな顔をした。
「駄目だ」
「いいじゃん、ちょっとだけ」
「だーめ」
「じゃあ名を教えて」
「いーやーだ」
背中を向けてプカプカとキセルを吸う。
煙が輪っかになって、UFOみたいに飛んでった。
「教えたろか?」
僕の肩から顔を覗かせたのは、歯のない鼠。
何でも、猫型ロボットの耳を囓った時に取れてしまったらしい。
どうやらロボットの素材と鼠の歯は互角らしい。
「本当?教えて教えて」
「あいつの姓は…」
「わー!やめろやめろ!」
凄まじい形相で七篠さんが突っ込んできて、鼠はカラカラと笑いながら僕の肩から下りて果てのない穴へと逃げていった。
「ちぇ、ケチ」
「うるせー、名前つけんぞ」
「う」
名をつけられたら僕は多分ここに来られなくなる。
僕はこの台詞にきっとずっと僕は勝てない。
「あれ、そう言えばあの猫型ロボットは?」
「追っ払った。奴は足りないものを埋めちまうからな」
「じゃあ、僕に名をつけたら七篠さんも追っ払われるじゃん」
間違ってない。
なのに、七篠さんは僕が間違っているような顔をした。
「何」
「別に?」
七篠さんはとても器用な人だ。
無い顔をコロコロとよく変える。
「ね、何?」
相変わらず、笑ったままで。
七篠さんは、煙を目一杯吸い込んで、それはもうゆっくりと吐き出した。
「秘密っつうのは欠けるべきもんなんだよ」
煙はぷかぷかと宙を彷徨い窓辺へと向かい。
やがて鳥の姿になると滑るように羽ばたいていった。
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