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星咲の脳内が垣間見れます。
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何もない空間に、ひとつ、扉がある。

古びた木製の扉は無防備に開いていて、扉の枠に切り取られた世界がぽっかり浮かんでいた。

ピンク色の空。
地平線に向かって黄色、水色とグラデーションがかかっている。
空にはところどころ真っ白な雲が浮かんでいて、その上に屋根が並んでいるのが見えた。時計塔もひょっこり伸びていた。
遥か彼方にはオレンジ色の煙突が幾本か並んでいて、もくもくと、ぷかりぷかりと、ふわふわと煙を出していた。
山並みは滑らかな曲線を描き、時折ふにゃりふにゃりと柔らかく変形する。
自転車に乗った麦わら帽子のおじさんが、空を飛びながら帽子を取って挨拶してくる。
羽根の生えた豚がそれにぶつかりそうになって、くるくると飛んでいった。
世界は不思議な音で満ちていた。遠い外国の田舎の港から聞こえてきた出航の汽笛のような、聞こえそうで聞こえない音。
高いような低いような音が耳を通じて頭に流れ込んでくる。

山がうねった。
煙突が大きく膨らんだ。
空を渡る列車が駅から出発した。
温かな沼に沈んでいく気がした。


きづけばぼくはぷかりとそらをとんでいた。
きみはそのさきでわらってくれていた。


おかえり

ただいま



さようなら

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